その笑みに、紗綾の背筋がゾクッと震えた。

口元は笑っているが、目元は笑っていないと言う恐ろしい笑みを浮かべている。

(こ、怖い…)

彼女を怒らせると大変そうだと、紗綾は思った。

「さあ、そうと決まったら準備をしましょう!」

「はい!」

張り切っているエミリーとクレアを前に、
「は、はい…」

紗綾はあきらめたように返事をすることしかできなかった。

2人に連行されるように向かった先は衣装部屋だった。

「す、すごい…」

軽く見たとしても500着以上はあるであろうその量に、紗綾は絶句することしかできなかった。

「服はこっちで、靴はこっちの方がいいかな」

「それだとバランスがあわないと思いますので、私的にはこちらの方がよろしいかと」

服と靴を片手にあれだこれだそれだと言いあっている2人に、紗綾はどうすることもできなかった。