リビングを後にすると、紗綾は自分の部屋に入った。

(エリックさんは何を思って、私を婚約者にするなんて言ったんだろう…?)

紗綾は息を吐くと、ソファーに腰を下ろした。

「私、そんなにもエリックさんに嫌われているのかな…?」

彼は自分がここに住むことを真っ先に反対したのだ。

もしかしたら、自分への嫌がらせで婚約者宣言をしたのだろうか?

そう思った時、コンコンとドアがたたかれた。

「はい、どうぞ」

紗綾が声をかけると、ガチャッとドアが開いた。

「あっ…」

入ったきたのはエリックだった。

先ほどのこともあり、紗綾は彼から目をそらした。

「何か用事でしょうか…?」

紗綾は呟くように、エリックに質問した。