「実はですね、もうすぐテストでしょ?」
「……教えろと?」
「そうです。
せめて英語、英語だけでも……!」
英語だけどうしてもできなくて、誠に教えてもらわなかった時はいつも欠点ギリギリなのだ。
「わかった。」
そんな私に対し、誠はすんなりと肯定してくれた。
「ありがとう…!
じゃあ土曜日誠の家行くね!
良かった、これで救われた……!」
「沙織って先生じゃなんで理解できないんだよ。」
「違うよ、誠の教え方が上手いの!」
誠が教えてくれた英語じゃないと理解できないのが現実だ。
「沙織が理解しようとしてないんじゃねぇの?」
「うわ、最低。私はいつだって真面目だし。」
英語の授業は寝ずに頑張ってるし。
それでも結果が出ないなんて悲しすぎる。
「さーおりっ!」
「うわっ、びっくりした。」
油断した時に急に私に抱きついてきたのは他でもなく、優斗だ。
「俺にはくれないの?ブラウニー。
沙織のブラウニー食べたいな、俺も。」
私から離れようとせず、優斗はそう続けた。
本当にずるい、こいつは。
私をあげたり落としたりするんだ。