そんな誠の言葉を聞いていた周りの女子が騒ぎ出す。
周りを見ると女子だけでなく男子まで今の誠に惚れたようだ。
「また誠の人気が上がった。」
「は?」
「男子まで誠に惚れたね、これは。」
「気持ち悪いこと言うな。」
「だって甘いもの嫌いでしょ?
なのに全部自分で食べるわけだ、しかも結構な量。」
私が前のバレンタインの時、どれだけの数をもらったことか。
「ああ、結構きつかった。
あん時はまじで死ぬかと思った。」
それでも食べてあげるって、ポーカーフェイスの私の幼なじみは優しさを併せ持っている。
「……あ、でもさ。
甘いもの嫌いなくせにブラウニーは好きだよね。」
私が誠にブラウニーを作ってあげる時があるんだけど、その時は誠嬉しそうな顔をする。
幼い表情のギャップが可愛いから見たくなって、私もつい作ってしまうのだ。
「いや、ブラウニーも嫌いに決まってんだろ。」
「え?じゃあなんで……」
「俺が好きなのは沙織が作ったやつだけ。
俺専用の、甘さ控えめのやつ。」
また、教室が騒ぎ出した。
さっきよりも。