ポンポンと頭を撫でられ、サラリと髪の毛に指を絡めてきた。


「キス…したかったんだ?」

「へ?」


すっとんきょんな声を出して准一さんを見た瞬間に。

ちゅっ。

唇に何やら柔らかいモノが。


「どう、満足した?それとも足りない?」


つつー…と私の唇を撫でながらニヤッと口角を吊り上げたのだった。


「きっ…き、す、今!」

「何を今更。…マキは欲しがりだなー」

「やっ」


再び落とされた唇、今度は長く吸い付いて生温いものが口の中へと侵入してきた。

二度目のとろけてしまいそうな感覚に虚ろになる瞳。

准一さんの瞳に写る自分の姿にハッと我に帰った。

こんなのダメに決まってるし、流されちゃいけない!


ドンッと思いっきり准一さんの胸元を押してその腕から逃れた私は顔を真っ赤にしながら叫ぶのだった。


「やだっ!も、もう…准一さんなんか知らないっ!」

「マキまっ…」


一刻も早くこの空間から逃げ出さなくては…

准一さんの制止も聞かずにべーっと舌を出すと理事長室から駆け出したのだった。