そこに居たのは…

学園の理事長こと、准一さん。

職員室へと進めていた足がピタリと固まる。


「マキ…ちょっとこっちに」

「え?」

「呼び出したの、俺だから」


そ、そうなの?!

誰もいない静かな廊下にコツコツと響く足音。

准一さんはこちらに近づいてきて私の手を取ると足早に歩き出した。


「え?え?あの何処にっ……」

「俺の部屋」


…俺の部屋=理事長室。

スタスタと歩いていく准一さんに小走りの私。

何がなんだかわからなくて引きづられるがままに着いて行くことになった。


───…バタン。

ずっしりと重い、重厚な作りをした扉が背中越しに閉まった。

妙に緊張するここは理事長室。

今は私と准一さんしか居ない空間。

理事長室はシンプルな造りとなっておりインテリアや調度品の数々に目を奪われる。

ごくりっと唾を飲み込んで未だ放されることのない腕に力が入った。


「ねぇ…マキ。俺ね、今とっても機嫌がいいんだ」

「は、はぁ…」


左様でございますか。

こっち、と腕を引かれてソファーに座る。