「いい跡継ぎって感じ?」
「まあな。ただ……そうなると、婿取りだぞ」
「あら。吊戯のとこの息子、1人もらっちゃう?」
私の言葉に、
「……その手があったか」
と、御門は面白いことを思いついたらしい。
「そうなったら、3人のうちの誰かだよな」
「まぁ、結婚相手を親が決めてもね」
「本気で愛した相手と、結婚はするべきだろ」
「フフッ、そうね」
理想の始まりではなかったけど、私は今とても幸せだから……子供たちにも、この幸せを手に入れて欲しい。
例え、全てを……世界を敵回しても、それでも、手放したくない、好きだって思える人と、ずっと、死ぬまで、ずっと、傍に。
「ねぇ、御門」
私たちが話しているからか、和菓子の道具や飾り、型に目を輝かせる、咲春以外の子供。
やっぱりみんな、興味はあるんだ。
そりゃ、そうだよね。
御門、格好いいもん。
「……これからも、よろしくね」
御門に愛されて、愛して、甘えることが分かるようになった。
幸せの本当の意味も、全部、全部……教えてくれるのは、自分を愛し、愛せる相手だけ。
御門はフッと、笑って。
私を抱き寄せると、一瞬。
「……愛してる、夏咲」
と、私の耳元で囁いた。
顔を赤くなるのを感じつつ、私は彼に微笑む。
「私も愛してる」