「お、お久しぶりです……有栖川夏咲と申します」


頭を下げ、私は御門の両親の様子を伺った。


すると、驚いている御両親。


そりゃ、そうか。


息子の嫁が、よく知っている人物なのだから。


「……よくいらっしゃいました。夏咲さん」


けれど、お義母さんはすぐに調子を取り戻してきて……。


お義母さんはにっこり微笑むと、礼を。


「ご無沙汰しております」


私もそれに従い、深く頭を下げた。


「貴女が御門の妻になるなんて……」


「も、申し訳ありません」


「あ、怒っているんじゃないわ。ただ……御門、貴方、まとまりかけていた縁談はどうするおつもり?」


鋭い声で、御門に問う姿。


やっぱり、自分は認められていないのか。


「……そんなん、勝手にそっちがやった事。俺は知らねぇよ」


「…………家に泥を塗るの?」


「家がどうなろうが、俺は知ったことじゃねぇ。俺には夏咲と夏姫がいて、笑って暮らせるのなら……跡取りの座なんて、どうでもいい」


御門は元々、気の進まなかったらしい。


生まれた時から定められた未来に、うんざりすることもあったって。


だから、吊戯に声をかけられた時……とても、嬉しかったと、御門は言った。