「……大丈夫か?」


「う、うん……」


ドキドキしながら、ハンコを押す。


「っぱぁー!こんなにハンコを押すのが緊張するなんて!」


今日は、婚姻届にサインした日です。


退院して、夏姫も家に帰ってきて……。


早、半年がたつ。


まだ、御門は有栖川に帰ってない。


ここで、私を愛して、夏姫を可愛がって……こんな幸せでいいのかと思いつつ、私は生活をしている。


「じゃあ、仕事行くついでに出してもいいか?」


「もう……その質問、何度目?」


「いや……だって、人生の分岐点だろ?」


「そうだけど……私は気にしないの。御門が一緒に出しに行きたいって言うのなら、仕事の昼休みに出しに行く?」


「いや……今日は忙しいから」


「なら、私のことは気にしないで。有栖川の御両親に無断で夫婦になるのは気が引けるけど……私、御門のお願いには逆らえないから」


御門に『お願い』と言われると、どうにも逆らえない私。


御門ってば、ずるいんだよ。


この前だって……。