「守るよ」
「……」
「暫く、辛い思いをさせるかもしれない。でも、それ以上に幸せにする。俺の全部、夏咲にやるから……俺を信じて、ついてきてくれ」
抱き締められて、私は笑う。
「今更、離れられるわけないでしょう?」
多くの愛に、浸された。
もう、逃げられない。
「だから、そんなに不安な顔をしないで。御門。私はここにいるよ。どこにも行かない」
御門の手は、震えていた。
彼は何故か、とても私を失うことを恐れてる。
「後悔はさせないから……頼む、ついてきてくれ。お前がいない日々は、もう考えられない。お前がいないのなら、死んだ方がマシだ」
「フフッ、大げさ」
「それくらい、お前を愛してるんだ。分かってくれ」
「はーい」
今日も私は、こうして彼を優先してしまう。
本来なら、無理やり行かせるべきなんだろうけど。
(……私は、そんなに強くない)
彼がいないと生きていけないのは、私も同じことだから。