「で、どういう心境変化?」
「……御門が、色んな想いを抱えていることを話して気づいたの。有栖川からすれば、私は邪魔者だろうけど……」
「そうか?」
心底不思議そうに、吊戯は首をかしげた。
「お前、御門の両親には気に入られているだろ。1度、打診されたことあるぞ?」
「何が?」
「お前を嫁にくれない?って、御門の両親から」
「…………ええっ!?」「はぁ!?」
「…………でもまぁ、俺がさっき、御門に結婚したい女性が出来たようですよ。と、言ったら、怒ってた」
「ほら、ダメじゃん!」
何やってんだ、この野郎!!
「子供のこととか、伝えようかと思ったけど……切られるし」
「いやいやいや、なんでそんなことを言ったの!?」
「両片思いの男女が二人っきりになって、挙句、女の体には男の子が宿ってて、上手くいかねぇことなんてあるの?」
……絶対に、上手くいくと読んでたらしい。
「夏咲の名前を言う前に切られたし、置いていったお前の携帯はなり続けるし、大体、たまたまかけた仕事の電話でお前の将来の嫁設計を永遠に聞かされる俺からしたら、話を切るのに良い材料だったんだよ」
「……それは、俺の両親が悪い」
はぁ、と、ため息をつく御門。
御両親を見ても思うけど、御門は大切に育てられたんだな。
「とりあえず、そういうわけだから。2人とも、有栖川の別荘で姿を隠しときな?少なくとも、熱が冷めるまで……子供が生まれるまで」
「いや、仕事……」
私は辞めるからいいけど、御門はそうもいかない。
すると、吊戯はニヤリと笑って。
「PCに送り付けてやるから、安心しろ」
……安心できる気が、しませんね。