「御っ、門……」


彼女の唇を舐め、舌を入れる。


彼女の口内を侵し、深く口付ける。


「っっ、ふぅ…………はぁ」


「………………なんで、俺を受けいれてくれるの?」


肩で息をする彼女をささえ、俺は尋ねた。


「貴方の愛が、深く伝わってきたから……かな」


「っ、」


「大丈夫。嘘なんて言わないし、信じないこともないよ。だから……ねぇ、御門、そんなに泣きそうな顔をしないで?」


彼女の手が、優しく触れてくる。


「もう、10分以上経つね。そろそろ出ようか」


「……」


出ていこうと、ドアノブに手をかけた夏咲。


「あ、そうそう」


彼女は振り返り、柔らかく笑った。


「私のこと、"夏咲”で良いよ。私も、御門って呼ぶから。前みたいに、言い直さなくていいからね」


……バレていたのか。


「……夏咲」


「ん?」


ああ、好きだ。


もう、どうしたらいいのやら。


「愛してる」


「……フフッ」


背後から抱きしめると、彼女は笑みを漏らした。


「?」


「嬉しいね」


「何が?」


「好きな人に、愛を返されるの」


「……」


「夢じゃないよね。コレ」


自分の頬をつねる、夏咲。


愛しくて、可愛くて、ずっと見ていた。


「夢じゃないよ」


そう言いながら、自分でもこれが夢かもしれないと疑った。


だって……夢のように、ふわふわしていたから。