「有栖川の約束事、結婚1年以内に男の子、だっけ?」
「……」
そう言えば、彼女は有栖川と関わりは深い。
掟すらも、知っていたか。
「……あのね、ひとつ教えてあげる」
「え?」
「御門の御両親、御門に幸せになって欲しいんだよ」
「……」
「だから、結婚を勧めてたんだよ」
笑顔で好きな女にそう言われるって言うのも、中々に複雑である。
「男の子でも、女の子でもいいから、御門の子供を見たい。……そう、仰ってたよ」
初めて聞いた。
そんな話。
彼女は、笑った。
「……この子は、認められないかな?」
「……」
「私は、貴方の妻として認められるかな?」
真っ直ぐに見つめ返されて、俺は一瞬、息が止まった。
「あの夜に、答えてあげられなくてごめんなさい。私も、貴方を……御門を、愛してるわ」
俺は彼女を抱き寄せた。
そして、唇を奪う。
「んっ……」
柔らかく、甘い。
まるで、スイーツのように。
「ふっ……」
あの夜、体は繋いでも……キスはしなかった。
出来なかった。
「っ、……んぅ……」
ああ、ダメだ。
止まらない。