「は? ここ?」


車が到着したのは、まるでモーテル……山の中の、廃墟のようなホテルだった。


「まぁ、住所ではそうなるね。ほら、『異世界境界』って看板もあるし」


カイの指差す先の錆だらけの看板を見て、私は溜息をついた。

考えてみたら、『異世界境界』なんていう名前も明らかにおかしい。

全く……変な奴というものは、デリヘルを呼ぶホテルも変だ。

こんな所で一体、私は何をされるんだろう?

私の胸はすぐに、不安で埋めつくされた。



「じゃ、ここの306号室ね。時間を教えてくれたら、終わるくらいに電話入れるから」


呆然とそのモーテルを見る私を置いて、カイはサッサと車で走り去った。