自分の息すら匂いを嗅ぎつ

けて襲われるのではないか

と思い、口に手を当てて


気配を殺す。


やがて人の声も遠ざかって

いき、なんとかやり過ごし

た事で、安堵のため息


が漏れた。


《ふぅ》


《なんだったんだろう…あ

れ》


やはりベルゼ兵が自分達


を探しているのかもしれな

い。それならティア姉ちゃ

ん達が危ない!!


早く知らせなくちゃ。


そっと立ち上がり辺りを


見渡す。


《よしっ!!誰も居ない…》

そう言って大木から


横に体をずらす…


その瞬間何かにぶつかった

…それと同時に異様な匂い

が鼻をさす。真上にただな

らぬ気配を感じ、暗闇に目

を凝らす。するとラキの頭

上には赤い三つの瞳がこち

らを睨んでいた。


《ひいっ》


声にならない悲鳴が


漏れ、その場に尻餅


を着いてしまう。