その頃ラキは一人、震えて

いた。初めて人に殺意を


抱いた。あの時…本当に


殺す気で…自分の手を見る

と沢山の血がついている…

赤い血が…


母の最後の光景が頭に浮か

ぶ…頭を抱え一人…


森の中でむせび泣いた。


どれくらいの時が過ぎた


だろう…あたりはすっかり

夜の闇が支配していた。


すると何処からか人の声


が聞こえてくるのに気づき

辺りを警戒しながら見渡す

。小さな灯かりが木々の


間からユラユラ揺れて動く

のが見えた。大木の影に


息を潜め静かに見つめる。

やがて灯かりが近づいて


来て、目視出来る所まで


来た時、恐ろしい光景


に体が氷ついた。