《あまり遠くに逃げたから

探したぞ》そう言うと


声の主が林の奥


から現れた。


長身痩躯、短髪にこけた頬

はどこが病的な印象すら


与える。


漆黒の鎧と胸に刻まれた


紋章はベルゼ王国のもの


である事は一目


でわかった。


《悪いが消えてもらう》


研ぎ澄まされた剣を鞘から

抜き放ち、音もなく近づい

くる。かなり訓練された


兵士だとゆう事は明らかで

あった。


ティアの杖が胸元に構え


られる。(どうする…)


頭の中でこの危機を


打破する道を模索する。


《無駄だ…私はこれでも


剱聖なのだよ》


ティアの心を見透かすかの

ように話かけてきた。