《夢なんかじゃないんだね

……》


顔を伏せて唇を強く噛み締

めた。小さな体が震えてい

るのがわかる。ティアは


近づき強く抱きしめる…


胸の中で声にならない

ォェッ
嗚咽が漏れ、ティアの


心を締め付けた。


《あり…が…とう…》


どれ程の涙を流したのか…

腫れた目をこすりりながら

幼い少年は呟いた。


なんて強い子なんだろう


とティアは思う。この強さ

があればきっと……。


《ラキ…これからの事だけ

ど…》


そう言うとラキが不安そう

な顔をこちらに向ける。


《この国は今大変な状況に

あるの。私はこれから…》

ティアはラキにここまでの

経緯とこれからの行動を


おおまかに説明した。