その前にこの子を安全な


場所まで避難させ


なきゃ…。


かたわらで眠る少年を


見つめる。もし目を醒まし

たらこの子はどう思うだろ

うか…自分の村が襲われ、

一人だけ助かり、この先


深い悲しみを背負い生きて

いかねばならないのだ。


おそらくあの時少年の


側で倒れて居た女性は


この子の母親かもしれない

…そう思うとひどく胸


が痛んだ。


なぜ…争うの?…そうまで

して…なんの罪もない


人々を巻き込んで…。


ティアの囁きに答えてくれ

る者など居るはずもなく


その想いは虚しく空を切っ

た。