ラキにもわかっていた。


恨んでも母親は帰ってこな

い。それに少なくともクロ

ードやセシルドは命をかけ

て自分を守ってくれた。


ラキの知るごう慢な王族と

は違う…だからこそもっと

身近な存在で、気さくに話

せる人であって欲しかった

のだ。


《そんなんじゃないよ》


小さく呟く。


《クロードの事は恨んでな

んか無い…むしろ命を助け

てくれた事を感謝してる。

おれはただ…出てく前に


……一言いいたかった


だけだよ》


《…そうですか…いや、


そうですね》


口を尖らせるラキを見て


優しく微笑んだ。


《私もそう…思います》


それを聞いたラキも屈託の

ない笑顔で返した。