「それでそんなダメージを受けるような何を言われたんですか」

「無神経でセクハラ、モラハラ、信じられない。こんなお店頼まれたって働いてなんかやらない、お客としてだって二度と来ない、潰れろ! とか何とかかんとか……」
「それはまた随分な……」

「クソジジイとまで言われたんやで? わざわざ開店前の忙しい時間に時間とって面接して何であんなに言われなあかんねん」

「いったい何を言ったらあんな清楚そうな女の子にそこまでの暴言を吐かれることになるんですか」

「だから俺、なーんも言うてへんて。普通~に面接しとっただけで……」

「嘘よ、悠花さん」
「きゃっ」

 ふいに背後から声をかけられて私は悲鳴をあげてしまった。振り向くとベビーピンクのシャツを着た小柄な女の子がにこにこして立っていた。

「あ、佐保ちゃん。もう来てたの」
「はい」

「悠花ちゃんが呼んだんやて、そいつ」

奏輔さんがぶすっとして言った。

「はい。お花生けるの手伝って貰おうと思って」
「な、言うたやろ。悠花さんに頼まれたんやって」
 佐保ちゃんは得意げに言って私に、細い腕を絡ませた。