「…うるせー…」

「な、なんで私の部屋にいるの!?」

急いでベットから降りてドアにへばりつく。目の前には眠たそうな優の姿が。くしゃくしゃな柔らかそうな髪に綺麗に割れたシックスパックな腹筋。父親以外に初めて見る男の裸に唖然としていると、

「…なっ!…ぱ、パンツ…っ!」

こちらに近づいてくる男は上半身裸に…男子ってみんなこんなに派手なパンツはいてるの…?ズボンを履いてなかった。そ、それに…な、なんかパンツの前の方が…も、モッコリ…してて…


ダンッ

「ひゃぁっ!」

下半身を凝視していたら、
両手を頭の横におかれて顔を近づけられる。少しでも動いたら唇が触れそうなくらいだ。突然のことに頭がフリーズしてると

「お前、何勝手に自分ん家で寝てんだよ」

耳元に生あたたかい息がかかる。完全にフリーズして、優の声が聞こえない。

「おい、きいてんのか?」

てか、なんでホントに家に、てか私のベットに寝てたの!?し、しかも…抱きしめ…られてたよね?ハッ!寝間着だから、ブラしてない!
フリーズした頭のなかで今の状況を理解しようとする。

「はぁー…」

お前が悪いんだぞ。そう聞こえたと思ったら、短パンから伸びた脚に手を回されて抱き抱えられた。こ、これは…マンガや小説なんかで見るお姫様抱っこではないかっ!!??
呆気にとられすぎて声が出ないままベットに連れ戻されて、そのまま下ろされた。

「休みなんだからまだ寝てようぜ」

そういって隣に来たと思ったら、私を抱き枕よろしく引き寄せる。

「ちょ、ちょっと!てか、なんで私の部屋にいるのよ!?」

必死に抜け出しながら叫ぶ。その間も腕は腰に回され、長い足がふっとい素足にまとわりつく。どうせ親しか見ないからと外では制服以外は足を見せない私もパジャマは短パンだ。

「いつまでたっても家に来ないし、こっちに来たらきたで鍵が開いてるし、お前はバカか?知らない男が入ってきたらどうすんだ」

低い声が上からふってくる。

「鍵は…かけ忘れたの!てか、誰か入ってきてもこんな女誰も襲いやしないわよ。それより…離してってっ!!」

そう言ってるはずなのに、こいつはますます身体にからみついてくる。そして、いつの間にか私の上に馬乗りになっていた。

「な、なに?!」

いつも見ていた優はそこにはいなくて、なんだか…怖い。
どこからか出してきたネクタイを私の目の前にかざすと不気味な笑顔でその黒いものを私の目に巻き付けた。

「ちょっと!!なにするの!?」

ネクタイを剥がそうとすると、その手を掴まれて今度は手首を縛られる。

「お前が危機感無さすぎるのが悪いんだ。反省しろ」

「ひゃぁっ…!」

耳に囁かれて背筋がゾクリと鳥肌がたつ。
視覚を奪われて、全身が敏感になる。

「俺以外に触られてると思え」

そう放つと太ももに手が置かれ、大きくて長い指先が足の上を這う。目に見えない恐怖とこれが見知らぬ男だと考えるてさらに気持ちが悪くなる。
その手がショーパンの中にするりと入った瞬間

「…っ!わかった!わかったから、早くその手をどけて!」

あと少しでも手をずらせば、パ、パンツに…ッ!!

「本当に分かったのか?これからちゃんと俺んちに来る?」

「何でも言うとおりにするから、さっさと自由にして!」

そう言ったものの、ズボンの中に入った手が気になりすぎて、優が何を言ってるのかほとんど聞いていなかった。だ、だって…ズ、ズボンの中に手が入ってるんだよ!?そ、そんなのマンガか小説でしか見たことないよ…。

やっと自由になり、視覚を取り戻すとドアの方に優がニヤニヤしながら立っている。
いつの間にか服を着てるし…。

「じゃぁ、早く荷物まとめて家に来いよ。5分以内に来なかったら、さっきの続きするから」

「…行くなんて一言も言ってないけど。鍵もかけるし、いいでしょ」

俯きながらそういうと、

『何でも言うとおりにするから、さっさと自由にして!』

「えっ!!?」

聞こえてきたのは、紛れもなく自分の声で、優のスマホから聞こえてくる。

「ちゃんと録音しといたから。何でも言うとおりにするからって言ったよな?言うとおりにしないと、俺のファンの子たちにこれもばらまくけど?」

そう言ってみしてきたのは、
ネクタイで目隠しされ、手首を縛られ、Tシャツがめくれてお腹が見えて、無防備な格好で横たわっている私の写真だった。

「ぎゃぁぁぁーーーーーッ!!!!」

本日2回目の叫び声が響いた。