アイリスは、どんどん進んでいきますが人影が見えて、さっきまで進めていた足をはた、と止めました。

ミ ツ ケ タ

ニタリと、アイリスの口の端が歪みます。

『主役のあなたがパーティーに出ず、こんな所でなにをなさっているのですか?ロイ王子。』

その言葉に、弾かれたように振り向く人影。

大国ナスターディスの王子、ロイ王子でした。

「む?なんだ。パーティーの参加者か。ところで、こんな所とはなんだ!此処は僕のお気に入りの場所だ。

見ろ。周りに綺麗な薔薇が咲き誇っているだろう?」

アイリスは、

『え?』

と言うように周りを見渡します。そこで、やっと気がついた様でした。

アイリスとロイ王子、2人を取り囲んでいるのは綺麗なバラ。夜ということもあり、ライトアップされています。

『本当、綺麗ね。』

これはお世辞ではなく、アイリスの本心でした。

「綺麗なものを素直に綺麗だと言える人は、本当に心が綺麗な人だと大臣が言っておった。

それにしても、そなたは誰だ?なぜ、ここにおる?そなたも、僕の父上や母上と話してこなくてよいのか?」