「俺、本気で七瀬のこと好きだもん。わかるよ。


付き合ってた時に女嫌いでイケメンの幼なじみがいるって言ってたじゃん?


高校来てそれが誰かすぐに分かった。


俺、友達に言われたことと、好きな人に言われたことは覚えてるからさ。うん。


七瀬はこんな、アホでマヌケなやつが好きなのかって思ったら、なんか対抗心湧いちゃって。


七瀬あいつのために俺と別れて欲しいとかいうし。


3年になったらおんなじクラスになって、七瀬の好きなやつがどんなやつかめちゃくちゃ気になっちゃってさ。


したらあいつ、俺が七瀬の元カレだってわかったら一瞬嫌そうな顔したけど、俺の性格わかった途端、連んでくれるようになった。


こういうとこだなって。


俺と違うところはここで七瀬の好きなところもここなんだって、すぐわかった。




もうお前ら付き合ってるんだろ?」


長い間、裕樹の口は止まらなかった。


笑って言ってくれたけど、辛い思いをさせてしまったのはやっぱり事実で。



「うん。ごめんね…?」


「いや、謝ることじゃねぇよ?


七瀬が本気で好きなんだから、応援する。


でも多分、俺はまだ諦めきれないと思うけど…」


裕樹は痛々しく微笑んだ。


「ありがとう」


私は泣きそうになる。