ちょっとはマシになったかな…。


「その動き、ちゃんとしてね」


「は、い」


「それから里穂ちゃん」


私は光樹くんの手を置いて、里穂ちゃんの手を取る。


「よく出来てるけど光樹くんにつられてるのかな?動きが固く見えるの。


私とやってみよ?」


「え、でも…」


「大丈夫。私男の子のもできるから」


そう言って里穂ちゃんとステップを踏む。


うん。思った通りちゃんとできてる。


よし、大丈夫っぽいね。


そう思った私は伊織にサインを出す。



『それでは全チームがステップの練習を完了したみたいですので、一度曲を鳴らしますので、ずれても構いません。

一度、通して踊って見ましょう』



その声と同時に曲が流れる。


裕樹の手を取って踊る。


すると裕樹は話しかけて来た。



「…七瀬、なんであの時、告白オッケーしてくれたの?」


「…なんでだろうね。私、疲れてたのかもしれない」



嘘。


実際は友達が裕樹が告白した女の子はいないって聞いてたから、嬉しかっただけ。


その頃は私もなんとなく、っていう感覚を持ってたから。



「ふーん。そっか。


それじゃあ最初から、伊織のことが好きだったわけか」



「へ?」



私、誰にも伊織と幼なじみなんて、言ったことないし、ましてや、元彼になんて…。