しかし、近くで見ると、ますますダサい気がする。

サラサラな髪と、その下にある小さな顔は以前会った時と変わらないけど。かわいいと思った顔のパーツは、今は分厚い眼鏡に阻まれている。
その眼鏡も、いつから使ってるの?と聞きたくなるぐらい、ダサい。
それだけではなく、とにかく全体的にダサい。
そして何より、今から始まる面談に緊張してというより、それが素なんだろうなとわかってしまうぐらい、オドオドしていた。

「立ち話もなんですし、座りましょうか」

社長のその一言で、そのまま、悠さんの向かいに社長、社長の隣に私が座る。
コーヒーの乗ったトレイを社長と私の間に置いた。

「では、さっそくですが、本題へ」

俯きっぱなしの悠さんをしばらく見つめてから、社長が切り出した。

「急ですが、今日テスト撮影をさせていただきたいと思っています。小野原さんのこの後のご予定は?」