「お待たせしちゃって、ごめんなさいね」

悠さんが座っている４人掛けのテーブルにたどり着き、悠さんの向かいに立った社長はにこやかな声を出した。
そして、さっきまでの恐ろしい表情はどこへやら、見惚れる程の優雅な仕草で、悠さんに向かって極上の笑顔で名刺を差し出す。

「エトワールプロダクション代表の竹原です。今日はお時間を作っていただいて、ありがとうございます」

悠さんは慌てた様子で立ち上がって名刺を受け取りながら、ペコリとお辞儀をする。

「いえ、こちらこそありがとうございます。小野原です」

そのまま、社長と目を合わそうとせず、ずっと俯きがちのまま。私ですら、目が合わない。

だ、大丈夫なのかな・・・。

心配になり、悠さんを見つめてしまう。