電話越しに少し聞こえていた水上さんの声が聞こえなくなった。
水上さんが黙ってしまったみたい。

これって、ちょっとした脅しなのでは・・・？

黙った水上さんに満足したのか、社長はそれでいいのよ、といわんばかりの顔をしながら軽く頷く。

「じゃあ、よろしくね。合流できる時間が決まったら、また連絡ちょうだい」

そう言って、電話の向こうでまた何かを言い始めた水上さんを無視して社長は電話を切った。
そして、私に向き直る。

「さて、今度はあの子よ。この写真の子じゃなかったら、アンタ、本当にクビだからね！」

そう言った社長の表情のあまりの恐ろしさに、思わず「ひっ！」と声を出してしまった。
隣に合ったカウンターにすがりつくように体をひいた私に、社長がその表情のままジリジリと距離をつめてくる。

「約束、覚えてるわよねぇ？」

「おぼっ、覚えてます！」

社長の圧から逃れようと、上半身を反らして距離をとる。