……不破さん、私にはもう告白にしか聞こえませんよ。私をひとりの女として想ってくれているのだと、解釈していいんですよね?

雲のように捉えどころのない彼を、今はこの手で掴むことができている。このまま離さないよう、繋いだ手に力を込めた。


「……じゃあ、そうしてください」


クリスマスの魔法にかけられたかのごとく、ピンク色に彩った唇から大胆な気持ちが溢れ出る。そんな私に、彼は熱視線を送り続ける。


「あなたの好きにしてください。境界線なんて、とっくに越えてますから」


不破さんは四年前のことを覚えていなくて、私だけでなく多くの社員に慕われる社長で。そんな諸々から最初は無意識に一線を引いていたが、いつからか過去や身分などは関係なくなっていた。

私は、不破雪成という人がひとりの男性として好きで、彼にも同じように愛されたいと願っている。私も、普通の女だ。

周りの人たちを気にせずお互いを見つめ合ったあと、不破さんはなにかを決意したように私の手を引いて歩き出す。

彼がなにを考えているか、今初めて読み取ることができた気がして、私は激しさを増す鼓動を抱きながら黙ってあとに続いた。