とてもいいシチュエーションなのに、私は照れ隠しで茶化してしまう。


「不破さんも手を繋いだりするんですね」

「するけど?」

「なんか、普通のカップルみたいなことはしなさそうだなってイメージが」

「なんだそれ」


不破さんのツッコミにクスクス笑っていると、彼がふいに足を止めた。いつの間にかクリスマスツリーはすぐそこにあり、たくさんのカップルが写真を撮り合っている。

皆がツリーを眺める中、私たちだけは向き合って視線を絡ませる。彼は宝石さながらの輝きを纏った瞳で私を捉え、口を開いた。


「普通の男だよ、俺は。いつもは真面目で仕事も完璧にこなすのに、実は寂しがり屋で、俺の前で泣くお前も可愛いと思うし、そんな姿を他の男の目には触れさせたくないとも思う」


──プレゼントを開けたみたいに、欲しかった言葉が次々と飛び出す。私は目を丸くし、信じられない気持ちでそれを受け止めるだけ。

なんの声も出せない私に、彼は冷静さの中に色欲を交じらせた雄の表情をして続ける。


「今だって、このまま帰さずに……もっと言えば、すぐにでも抱きたいと思ってる」


ストレートな言葉に心臓が大きく跳ね、冷えていた全身が一気に熱を持ち始めた。