電話だ。もちろん初めてではないが、プライベートな用事でかけたことはないから、妙に緊張する。
ひとつ咳払いをして「はい」と出ると、怪訝そうな第一声が投げかけられる。
『友達と仲直りできなかったのか?』
あぁ、ちゃんと報告しなかったから、まだ悩んでいるのかと思われちゃうよね。でも、心配してくれていることが嬉しくて、密かに笑みがこぼれる。
「仲直りできたから、彼と過ごしなよって言ったんです」
『なるほど。お前はまたひとりぼっちってことね』
うぐ、と言葉が詰まり、口の端を引きつらせる私。この社長様は本当に遠慮がないんだから……間違ってはいないけど。
しかし、私はひとりで寂しいから不破さんと会いたいわけじゃない。好きだから、会いたいのだ。
それを伝えようかどうしようかと、悶々としていたとき、彼の柔らかな声が届く。
『映画でも見に行くか』
願ってもない提案に、現金な私はぱあっと表情を明るくし、それと同じ声で「はい!」と返事をする。
嬉しさを隠せていない私に気づいたのか、電話の向こうで小さな笑い声が聞こえた。
ひとつ咳払いをして「はい」と出ると、怪訝そうな第一声が投げかけられる。
『友達と仲直りできなかったのか?』
あぁ、ちゃんと報告しなかったから、まだ悩んでいるのかと思われちゃうよね。でも、心配してくれていることが嬉しくて、密かに笑みがこぼれる。
「仲直りできたから、彼と過ごしなよって言ったんです」
『なるほど。お前はまたひとりぼっちってことね』
うぐ、と言葉が詰まり、口の端を引きつらせる私。この社長様は本当に遠慮がないんだから……間違ってはいないけど。
しかし、私はひとりで寂しいから不破さんと会いたいわけじゃない。好きだから、会いたいのだ。
それを伝えようかどうしようかと、悶々としていたとき、彼の柔らかな声が届く。
『映画でも見に行くか』
願ってもない提案に、現金な私はぱあっと表情を明るくし、それと同じ声で「はい!」と返事をする。
嬉しさを隠せていない私に気づいたのか、電話の向こうで小さな笑い声が聞こえた。