「麗は気さくで思いやりがあって、頑張り屋だし、美人なのにそれを鼻にかけたりもしない。自慢の友達だから、颯ちゃんが麗を選ぶのは当然だと思った。だから吹っ切れたし、ずっとうまくいってほしいとも思ってた」

「私、そんないい女じゃないよ」


桃花が褒めすぎなので口を挟むと、彼女は「私から見たらそうなの」と言い切って笑った。


「実際、ふたりが別れて、去年のOB会で颯ちゃんに会うまでは未練もなかったの。彼氏がいた時期もあったしね」


確かに、桃花には二年前まで彼氏がいた。それから、『しばらく恋愛はいいや~』と言っていて、お互い女子ふたりの生活にどっぷり浸かっていると思っていたのだが、どうやら彼女は違っていたらしい。

そういえば、去年サークルをやっていた仲間での集まりに誘われたことを思い出す。


「OB会って、私が仕事で行けなかったときの?」

「そう。あのとき久々に颯ちゃんに会って話をしたら、大学時代の頃の気持ちがぶり返してきちゃって……。不思議だよね、麗から颯ちゃんとの話聞いても全然平気だったのに」


複雑そうな笑みを浮かべる彼女の気持ちには、なんとなく共感できた。