「もしかして名前無いの?」


そう聞かれて僕は縦に首をふる。


「そっか…そしたら名前も考えなきゃね。うーん…」


エクセル様はずっと考える。


僕はさっき作って貰ったシチューを1口頬張る。


美味しくなくても我慢してねとエクセル様は言ったけどそんな事ない。


「あら?泣くほど美味しくなかった?無理なら後でパンとかもあるから出すけど…」


「だいじょうぶ…れす…いつも…こんなの食べないから…ちょっと…」


「そんな畏まらなくていいのよ。あなたはもう私の物なの。私は自由にしてて欲しいから。ね?」


そう言ってエクセル様は僕の事を抱きしめた。


僕の知らなかった事。


人はみんな僕らをころしたり、殴ったりするとおもってた。


でも…この人は違う。


僕を道具として見ない。


この人の為に僕は生きようと思った。


その日僕は泣きじゃくった。


でもエクセル様は許してくれた。


それどころか僕を抱きしめて僕の頭を撫でてくれた。


それが嬉しかった。














それ以降僕はエクセル様の為に頑張った。


エクセル様が魔女だと知った。


一時期「魔女様」と呼んだけどそれは嫌だと言われてしまった。


そして僕にたった一つの大切な名前をつけてくれた。


4日ほどたった日に料理を手伝ったお礼と言われて名前をつけてくれた。


「やっと決まったからね。お礼よ。あなたの名前は今日からルノアね。」


そう言ってまた優しく頭を撫でてくれた。


「僕の名前は…ルノ…ア?」


「そう。ルノアよ。これからよろしくね、ルノア。」


僕はその瞬間生きてて良かったなって思った。


いつか…僕もエクセル様みたいな暖かい人になれるといいな…


そう思いながら僕は優しく頭を撫でてくれるエクセル様に身をゆだねた。