懐かしい夢をみた。


それはすごく曖昧な夢だ。


誰かがずっと、私の名前を呼んでいる夢。


少し寂しそうなその声の主に、私はぐっと手を伸ばすのに届かない。


もう少しで届きそうなのに。


あと少しの距離がもどかしくて、悲しくて、
私は泣きそうになる。



「………エリス………て…ね」



(誰?)


「ずっと………てるから」



(あなたは誰………なんだっけ)



輪郭がぼやけて顔はよく見えないけれど、私はこの人を知っている。


間違いなく、知っているはずなのに。




ポタッ



生暖かい温度が、私の頬に触れたのを感じた。