まず、元となる標準のマニュアルと、変更点についてのデータが必要になる。
「うちの川中のほうにもらっているデータがありますから」
川中さんから引き継いでわたしが持っているデータを、社内メールで森さんに送ろうとした。
そしたら、いろいろと役立ちそうなハギレのデータを含めて、四方が一式持っているというので、そちらを使うことにした。
それらはみな、会社のデータを保管するサーバー上の、四方の領域においてある。
四方が森さんにアクセスを許可した。
「うわぁ、キッタナイわねぇ。なーんにも整理してないじゃない。まるでゴミ屋敷」
領域のなかが混然としているのをこき下ろされ、四方はへらへらと笑いながら、データのありかを教えた。
データがそろうと、次はマニュアルの文章を作ることになる。
全体の作戦について、4人で打ち合わせた。
「オプションについての操作とか、異常が起こったときの対応とか、そういった説明を、パーツとして作ったらいいんじゃないでしょうか。で、最後にそのパーツを標準マニュアルにはめ込むんです」
わたしの考えを述べると、すんなり了承された。