喉がカラカラだった私は、彼からもらったお茶を一気に飲んでしまい、
すぐに手持無沙汰になった。
失敗したと気付いた時には、彼が私の隣に座って、肩を掴み、
強制的に向き合う形になっていた。

「まず、なんで避けてんの?」

「(まずってなんだ・・・他にもあるのかな?)」

「何か、嫌な事した?」

「いや、何も」

「じゃあ、何?」

「だから、忙しいって・・・」

「家から一歩も出なかったのに?」

「何で知って・・・え?ストーカー?」

「茶化すな。」

「(なんで怒ってんの・・・)ちょっと体調悪かったのよ」

「じゃあ、そう言えばいいじゃん。なんで嘘つく?」

「心配するかなって。なんか気を使わせるのも悪いし」

「俺的には、気を使った方がまだマシだったけどな」

「・・・?」

「連絡が取れない、家からも出てこない、生きているのかもわからない。
 知り合いが急にそうなったら心配するし、気にもなるだろうが」

私には分からなかった。
誰に対しても、こっちから連絡しなかったし、
気にはなるけど、そうなったらしょうがないと思ってきた。
だからこそ、自分にはここぞという時に相談できる人も居なかったけど。

そして、彼がそこまで思ってくれる義理もないと思った。
ただのお隣さんで、ちょっと話をするようになっただけの私を
気にかけて心配してくれるなんて、良い人なんだなって申し訳なくなって。

「ごめん。心配してくれてありがとう。でも、大丈夫だから」

心からそう思って、感謝したのに、
彼は、更に納得がいかない顔を浮かべた。