“僕と別れてくれ
 夢を叶えたいんだ。”
 
 冷たくなった風が頬を突き刺す。
 色濃く染まった銀杏や紅葉が小さな音を立てて落ちる。
 皆、上着を羽織り、足早に去っていく。
 このお店に入ってしばらく経つが、分厚いガラスの壁を貫いて、俺の体から熱を奪う。
 僕は、五年間付き合い、同棲している君に突然こう告げた。