こういうところが、モテる須藤君とモテない水口の違いなんだろうな。
「くそー。でもたしかに、怜南さんは俺なんかじゃ無理だよな。なあ、楓」
「瑠花にはもう彼氏ができたらしいぞ」
読書に集中しているかと思えば、二人の会話を聞いていたらしい。
水口が楓真を呼ぼうとしたのを遮って、きっぱりと言った。
絶望した水口の顔が面白くて、私はゲームをやめてカメラに切り替えた。
「瑠花ちゃん、彼氏ができたんだね」
「弱そうなやつだった」
楓真は本を閉じ、写真を見せてくれた。
元気に笑う瑠花ちゃんと、瑠花ちゃんに肩を組まれて戸惑っている男の子が写っている。
前髪は目にかかっているし、ちらっとメガネが見えるけど……
「なんか、意外かも」
「でも、前より楽しそうに学校に行ってるし、いいんじゃないか」
楓真はそう言って、スマホをしまった。
楓真の兄らしい顔が見れて、なんだか嬉しくなる。
「これで瑠花ちゃんたちともダブルデートができるね」
すると、楓真がまっすぐ私の目を見て来た。
「そんなに俺と二人でデートするのが嫌か?」