私には付き合って二か月の、意地悪でちょっと甘い彼氏がいる。



始めはただなんとなく付き合っていたけど、少しずつ彼のことを知って、今では彼と離れるなんて考えられないくらいになった。



「お前ら、なんか雰囲気変わったな」



昼休みにいつも通り、楓真は読書を、私はゲームをしていたら、隣の椅子に座っていた水口が、うらやましそうな目で見て来た。



私たちは顔を見合わせ、首を傾げる。



「そうでもなくない?」


「いいや、変わった。一か月前よりも、こう……うざくなった」



言葉を選んだ結果がそれかよ。


語彙力がないなあ、まったく。



「でも見ていて微笑ましくもならない?」



廊下の窓から顔を覗かせた須藤君が、水口に言った。



だけど、水口はそんな優しい須藤君を睨んだ。



「ならねえし!てか、奏汰!俺はまだ許してないからな!怜南さんとなんて!」



なんで水口がお姉ちゃんの交際相手に口を出すのやら。



「はは、やだな。僕はただ、紗知ちゃんのお姉さんがどんな人か気になって、会っただけなんだから。でもまあ……素敵な人だったなあ」



水口が叫んで言っているのに、須藤君は落ち着いて言い返した。