「……私はいいけど、向こうがどう言うか」
「そっか、そうだね」
お姉ちゃんはそう言いながら、スマホを操作した。
机の上に置いていた私のスマホが鳴った。
「私の休みの日。日にちはそっちで決めてね」
お姉ちゃんはそう言うと、ドラマを止めて自分の部屋に行ってしまった。
相変わらずの自由さに、思わずため息が出た。
◆
週末、ダブルデートらしきものを行うことが決定した。
「妹とその彼氏と遊ぶなんて、変な感じ」
提案者がなにを言う。
この話をしたとき、楓真は面倒そうに顔しかめたんだからね。
待ち合わせ場所である駅前に行くと、楓真と須藤君が会話することなく、スマホを操作しながら立っている。
女子の視線を集めているところが、なんか嫌だ。
「おお、奏汰もなかなかの美形。紗知、グッジョブ」
お姉ちゃんは満足そうにすると、二人のところに足早に行った。
本当、自由というかなんというか。
「ほら、紗知!早く!」
なぜ私が急かされなければならない。
私も楓真も、言ってしまえば巻き込まれただけなのに。
「つまらなそうだな」