ほらこうなるー……



「島谷?」



井下は逃がしてはくれなかった。



「……しつこい!」



これ以上ここにいたら、絶対言わされると思って、逃げようとしたのに。



井下は立ち上がった私の腕を掴んだ。



「な、なに」



すると、井下は黙って立ち上がり、顔を近づけてきた。



ま、待って、ここ教室……!



「俺は毎日、島谷に惚れ直してるよ」



耳元で!


低い声で!


このセリフ!



反則だっての……!



私は情けないことに、腰を抜かし、その場に座り込む。



「井下のバカー……」


「さっきからそればっかだな」



それしか返せないんだよーだ。



「俺、島谷が言うバカは、好きだと思ってるから」



井下は席に戻った。



ていうか、そんなこと言われたら、もう井下にバカって言えない……!



「……ズルいよ、井下」


「うん、知ってる」



……バカ。