「知ってるよ?」
思ったことを言った。
それだけなのに、どうしてそんなことを言われるのか、わからない。
「ふ、楓真」
私が冗談で言ってるように見えなかったからだろうけど、須藤君は井下に助けを求めた。
「お前が戸惑うなよ」
そーだそーだ。
「いや、だって」
すると、須藤君の言葉を遮るように、須藤君の肩に手が置かれた。
「二人は普通のカップルじゃないんだよ、奏汰」
出た、水口。
それを聞いて、須藤君は頭を抱える。
「異性の中で相手が一番って思わないのかな」
「思わない」
私と井下は声を揃えた。
うん、やっぱり気が合う。
「可愛いは?かっこいいは?」
井下よりかっこいい、ね……
「島谷より桜宮のほうが可愛い」
井下は迷うことなく言い切った。
桜宮さんは、学年……いや、学校一可愛いと言われている子。
あの子、めちゃくちゃ可愛いんだよね。
で、これは私も言うべきかな?
「井下より須藤君のほうがかっこいいよ」
須藤君はさらに驚く。
「本気で言ってる……?」
こんなの、嘘で言っても仕方ないでしょ。
「なら、僕がアプローチし続けたら気持ちが傾く」
「ことはないから、安心して」
私は須藤君の言葉に続けて、否定した。
「……安心できないし」