すると、後ろから邪魔が入った。
「もう試合終わったんだから戻る必要ないだろ」
「その戻るじゃねーよ。二人の世界から抜けろっつってんの」
水口が校舎から顔を出している。
井下と水口は窓越しに睨み合う。
「なんだ、羨ましいだけか」
かと思えば、井下が水口を嘲笑した。
「あー、そうだよ!わかってんなら見せつけんな!」
見せつけるなって言われても、そんなつもりないんだけど。
むしろ、水口が勝手に見てるだけのような……
「……見なきゃいいのに」
思わず口からこぼれた言葉に、自分でも驚いた。
まあ本心だから訂正はしないけど。
「目に入るんだよ!」
予想通り、水口は怒った。
「羨ましいなら彼女、作ればいいだろ」
「そんな簡単に作れたら苦労はしねえんだよ!」
すると、水口はしっかりと息を吸った。
「お前らなんか嫌いだー!」
そして水口の叫び声に、私たちは顔を見合わせて笑っていた。