「お前ら付き合ってる意味なくね?別れたら?」
心臓にグサッと刺したな、水口。
この傷は深いぞ。
水口のくせに、私をいじるなんて。
百年早い。
「それはありえないな」
井下は本を閉じ、私の頭に手を置いた。
「島谷が俺の隣にいないとか、ありえない」
……だから!
サラッと!
言うな!
「……お前、よくそういうこと言えるよな」
なぜ水口が照れる。
まあ、わからないことはないけどさ。
この場合、照れるべきは私じゃないのかな。
「島谷、照れてんの?」
水口はからかうように、私の顔を覗き込んできた。
「う、うるさい!」
余計なこと言わなくていいっての!
ていうか、井下はいつまで私の頭に手を置いとくつもり!?
これは払っていいもの……?
逃げてもいいもの……?
私が迷っていたら、井下は読書に戻った。
……以心伝心。