私が、井下に?



どうしよう、顔がにやける。



「……なんで嬉しそうにしてんだよ」



水口に言われ、逃げるように二人から顔をそむける。


そのとき、体育委員が私たちのクラスを呼ぶ声が聞こえた。



「そ、そろそろ集合だって!」



タイミングよかった……!



「んじゃ、行ってくるかー」



水口は立ち上がると体を伸ばし、クラスメートのところに歩いていった。



「島谷」


「ん?」



まだ隣にいた井下に名前を呼ばれたと思えば、手を握られた。


体育館の熱気にやられていたのに、さらに体温を上げらてしまった。



「な、なにを……」


「充電」



待って、不意打ちは無理……!


手汗が……!



すると、コートに立つ水口が井下を呼んだ。


井下は名残惜しそうに離れていった。



よかった……てのもおかしいか。



「ねね、島谷さんって井下君と付き合ってるの!?」



井下がいなくなったと同時に、同じクラスの千坂さんが迫ってきた。