「ヒオリ、聞いてくれ」


私の怒りはセンリの優し気な声によって抑えられ、出かける前に約束をさせられた。


「絶対に俺達から離れないこと」


「うん」


「キョロキョロしないこと。大きな声でしゃべらないこと」


「うん」


「街は結構大きいから、色んな場所があったりする。それは言ったら説明するけど、危険な場所もあるからな」


「うん!大丈夫絶対に離れないから」


「フフ、顔が強張ってる」


相当私は肩に力が入っている様だ。


「だって、めちゃ怖いよ。見つかったらと思うだけで」


「言ったろ?守るから大丈夫」


きゅん。

センリさん、ついて行きます。



と嬉しそうな顔をしていると、出かけ間際にナギが私の足を蹴ってきた。


「イたっ!何!?」


「センリは一番何考えてるかわかんねぇよ。足元すくわれるなよ?」


ボソリと私にだけ聞こえるように言ってきた。


「はい?私にはナギの方がよっぽど」


「馬鹿にはわかんねぇよな。ハハ」


と鼻で笑って先に出て行った。


「・・・」


あんぐりとしてしまった。

ん?ナギが笑った?楽しそうだった。・・凄いの見たかも。


一瞬の怒りがその笑いによって消し飛んだ。