戴冠式から1週間が経とうとしていた。

ナギが王様になってからというもの。

やはり賛否両論が続出したが、それでもナギは強く立ち向かった。

本当の王様になったんだと、私は確信した。

戴冠式の後、トキワ様とセンリとツカサさんの3人は西の国へと帰っていった。

残ったのは私とクレハちゃんとアサギさん。

二人は私の護衛についてくれるそうで、ありがたい存在です。

ツムギさんは未だに捜索中で無事を願うばかり。



今はというと・・

私はナギに頼まれて会議室の控室から会話を聞いていて欲しいと待機中です。


会議室から声が聞こえる。


「先日の街の事件では女性の被害者が多数出ております」

「誘拐も後を絶ちません」

「一部の女性から城に戻りたいという声も上がっております」

「王はどの様にお考えでしょうか?」


会議室の一番奥で座るナギ。大臣達と会議中だ。


「・・・要は女性が今のままじゃ逆にあぶねえって事だろ?」

「はい」

「じゃあシェルターでも作ろう」

「シェルター・・ですか」

「戻って来たいってやつの気持ちもわかるけど、一度は自由を求めて外にでてるんだ。相談できる住まいを作ればいいんじゃねえか?」

「しかし・・色んな問題が出てきます。そもそもシェルターを作る予算が今の状態では」

「問題は出るよ。一個ずつ揚げてくれ。解決して行こう。それに、数少ない女が危険で助けてくれって言ってんのに、金とか言う?」

「しかし現実問題・・」

「トキワに頼むよ」

「な、なりません・・また西に借りが出来てしまう」

「はあ?借りが出来るとか言ってる場合か?この間にも危険な目に遭ってる女がいるかもしれねえんだろ?」

「は、はい」

「使えるもんは使っておかねえと。それが他国の王様の財布でもな」


ナギの発言はグイグイ。ナギらしい発言だ。

大臣達はタジタジ。一歩進んでは二歩下がる。

決断力は圧倒的にナギの方が早かった。


「わかった。他に何かいい考えが出るまで待つよ。3日待つから。それまで街の警備を怠らないで、
しっかりと民を守ってくれよ。女の命が最優先なんだからな」


「はは!かしこまりました!!」


「もちろんですとも!!」



ナギはそう言って会議室を出た。

「頼む」