「私は本当の女の子じゃない。だからお仕事しててもやっぱり本物の女の子見ると嫉妬しちゃうし。
どうして私の体は男なんだろうって・・ずっと辛かった。男から可愛いって言われたこともあったけど、
女の子に言われたのはヒオリんが初めてだったし・・それに」


「それに?」


「ギンが私を少しでも見てくれるようになった。心配してくれるようになったのはヒオリんのおかげなのよ」


「え・・」


「ギンをずっと追いかけてたけど、全然相手にされてなかったのよ。この10年」


「10年も!?」


凄い年月だ。


「たまにお店に来てもすぐに女の子と話しては楽しそうだし」


ああ、女好きだもんね。

それは私もイラっとします。


「それがね、この間ヒオリんが攫われた時も私を信頼してくれて、しかも体の心配までしてくれて!!」


目がキラキラしている。


「すっごくすっごく嬉しかったし、幸せだったの!!」

「カサネさん・・」


カサネさんはずっと、ずーーーーっとこの胸の痛みを抱えていたの?

10年も?

私には無理だ。耐えられない。


「全部ヒオリんのおかげなのよお~」


ぎゅっと手を握られた。

その手はとっても温かかった。

思わず涙がこぼれてしまった。


「カサネさ・・・」


「だからね、私はヒオリんにも絶対に幸せになって欲しいの」


そんな事言われたらもう・・この世界に来てよかったって思ってしまうじゃん。

カサネさん、初めは怖いなんて思ってたけど・・・今はなんて可愛い子なんだ。


「私はずっとヒオリんの味方よ」


そう言ってカサネさんは私を抱きしめてくれた。


その体はとても男には思えないくらい、優しくて柔らかくて、本当の女の子みたいだと思った。