「ヒオリん、こっちに行きましょう」

「え?」


カサネさんは手を取って私を促してくれた。

そこは屋敷の裏庭で、池には錦鯉が泳いでた。

月が照らしてくれてとても綺麗な、ハズ。

今の私にはそんな風に見る事が出来ないけど。


「うわ・・なんか、縁側って久しぶりに見たかも」

「あら?もしかして懐かしい感じなの?」

「あ、うん・・おばあちゃんちがこんな感じだったから」

「そう」


縁側に二人で座ってボーっとした。

話下手な私は黙ったままで、何も切り出せなかった。

カサネさんも静かに月を見てた。