お風呂から出た後、用意してあった着替えを手に取った。


「浴衣だ・・」


花模様の入った薄紫の浴衣と黒い帯が用意してあった。

着替えた私が扉を開けると、カサネさんが目の前に立っていた。


「きゃっ!ヒオリんきゃわわ~☆」

「カサネさん」


なんだかやたらテンションが高い気がするが。


「お迎えに来てくれたんですか?わざわざすみません」


「うん。ギンに言われて・・あ、これは内緒だった。うふ」


「え」

ドキン


「なんかさっきここの男子に絡まれてたって聞いて、カサネが護ってやれってギンに言われちゃった~」


「な、なるほど」


やっぱり心配してくれてるのかな?

カサネさんを使ったりしなくてもいいのに。

でも・・それでも嬉しいと感じてしまう。

単純な私だ。


「ギンは?」


「父上とお酒飲んでるわー」


「そか・・お酒好きだもんね」


「父上はだいぶ出来上がってるけど、ギンは全然て感じね。昔からザルよね~」


「あはは・・そうですね」


ズキズキ

なんだろう。やっぱショック受けてるみたい。

胸がずっと痛い。


こんなに近くにいるのに、すっごく遠い存在に感じる。

てか、私の事完全に無視だしね。


「・・うぅ・・」

「ヒオリん?」

「あ、ごめ・・なんでもないです」


目を閉じて胸のあたりをさすってみたけど、やっぱり痛いままだ。